一駅の距離
子供ができない理由に
どちらかに問題があるわけではないようだ。

ただタイミングが良くないだけだろう。

諦めたつもりはない。
だが、そこまで熱心に子供が欲しい！と
思い続けるほどの情熱はなかった。

家族計画の目標が曖昧になり、
それにつれて妻との会話も少なくなっていった。

俺と妻とのコミュニケーションは、
朝夕の食事のみだった。
朝、妻と向かい合わせに朝食を食べる。
夜、妻と向かい合わせに夕食を食べる。
但し、深夜に帰るときは、
先に眠っている妻を起こさないように、
妻の椅子と向かい合わせに夕食を食べる。

別に寂しくはない。
それが普通なのだから。

・・・たまに無性に寂しくなるときはあるが、
それを言っても仕方のないことだという自覚はあった。

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表紙・目次

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