夢現物語
「母様は、ずっと私とご一緒にいて下さると思っていたわ。」

絵巻を片付け、和泉に手渡し給う。
見ていては、悲しくなってくる、との仰せだった。

「他の物語を持って来て………竹取は母様を思い出させてしまうわ。」

和泉が絵巻やら写本を入れた箱を持って来ると、姫君は箱をお開けになり、一番上に入れてあった写本をお取りになる。

「『落窪』か……………」

落窪というのは、継子譚の物語である。

そうお言いになるが、姫君は落窪の絵巻を開かれた。

「私が、読みますね………………姫様。」
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