夢現物語
(使い古された物を着るのはあまり嬉しくないけれど、良かったわ。タダで織の美しい衣を手に入れられて。やったわ。ほほほ。)

女房は嬉しそうに、去って行った。


「葵様。いらっしゃいますか。」

夜、貴久が曹司にお出でになった。
そして、倒れられた姫君をお見かけした。

「葵様!」

姫君は毒を盛られて、それにより、お気を失っておられるのだが、貴久は、姫君がお隠れしたのだと勘違いなさった。

(そんな、やっと、貴女は僕を見ても嫌がらぬ様になったのに………)
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