夢現物語
貴久は、誰にも知られず、幾度か、姫君の曹司にお出ましになったことがあった様だ。
それを知るのは、この二人だけである。
貴久は一度御自身の対の屋に戻られると、短刀を持ち出してこられた。
(待っていて下さい、葵様。僕、此処で貴女を追います。)
そう思い、御落涙遊ばすと、その勢いにのり、短刀を首に刺された。
(いや、寒いわ………何故?)
姫君はそれから暫くしてから、お目覚めになった。
上には、血に染った、衣が掛けられている。
(血………どうして?)
それを知るのは、この二人だけである。
貴久は一度御自身の対の屋に戻られると、短刀を持ち出してこられた。
(待っていて下さい、葵様。僕、此処で貴女を追います。)
そう思い、御落涙遊ばすと、その勢いにのり、短刀を首に刺された。
(いや、寒いわ………何故?)
姫君はそれから暫くしてから、お目覚めになった。
上には、血に染った、衣が掛けられている。
(血………どうして?)