夢現物語
(あ………!)

姫君は恐ろしくなられ、かたく、目を閉じられた。

刹那、ジャキリと不快な音がして、姫君は、頭が軽くなった様な、そんな感じがなさった。

そして、やはり、長く美しかった御髪を切られたのを、確信してしまわれた。

北の方は、その御髪をも持ち去ってしまった。
桜達に髢を作ってやろう、と思っていたのだ。

姫君の御髪は、短く、尼君の様であった。
更に、北の方は無理矢理姫君のお召し物を奪い取って、代わりに一枚の墨染を渡して来た。
< 137 / 302 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop