夢現物語
『藤一条の尼君様。

お久し振りと存じます。
如何お過ごしでしょうか?

さて、尼君様は本邸で、あらぬ噂が流れているのを御存知でいられますか?

御父君様が贈り物をなさった時、一人、女房が参りましたでしょう。その女房が尼君様のことを怨霊憑きと申し噂を流しました。

尼君様、どう思し召しでしょうか。
ご不快に思し召しと思いました。

非常識な女房でしたので、御父君様が追い出して仕舞われました。自業自得でしょうね。

和泉も私も、尼君様の御事を心配申し上げています。

今後、もし、何かおありなら、すぐに御文をお書き遊ばして下さい。もし、お力になれるなら。

逢鈴』
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