夢現物語
逢鈴は文を書いて、北の方ではなく、父君に許しを貰った。
父君は尼君を心配なさっているからである。
翌日、逢鈴は文使いも出さず、自分の足で一条邸に向かった。
「藤一条の尼君様、いらっしゃいませんか、逢鈴で御座います、あやしゅう御座いませぬよ。」
邸に上がり、御簾の前でそう言うと、内からふっと声が聞こえた。
「そう、逢鈴なのね。いいわ、お入りなさい。」
失礼致します、と逢鈴は理ってから御簾を潜った。
「尼君様………」
父君は尼君を心配なさっているからである。
翌日、逢鈴は文使いも出さず、自分の足で一条邸に向かった。
「藤一条の尼君様、いらっしゃいませんか、逢鈴で御座います、あやしゅう御座いませぬよ。」
邸に上がり、御簾の前でそう言うと、内からふっと声が聞こえた。
「そう、逢鈴なのね。いいわ、お入りなさい。」
失礼致します、と逢鈴は理ってから御簾を潜った。
「尼君様………」