夢現物語
桜が所有している調度品も、流石姫君。女房等に比べればかなり宜しい物である。

着ている物も、父君が態々好みに合わせて買われている物で、煌びやかな物が好きな桜はとても喜んでいる。

また、桜はとても気前が良いので、気に入っている女房には、着古した衣をやったりしていて、人気も高い。
ただ、中には二度三度しか袖を通していない物も含まれているので、父君はその都度買い直したりしていて、出費もなかなか多いのだ。

桜は、自分の着ている裳唐衣を見て、改めて思う。

自分には裳唐衣は似合わないと思う。小柄なので、衣装に体が埋れてしまっているのは、少し大柄な女房からすれば、実は少々羨ましかったりするのだが。

尼君もどちらかと言えば大柄な方で、桜よりも頭一つ分くらいは高くいらっしゃる。
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