夢現物語
一番知りたかったこと、それが、貴久の安否であられた。
逢鈴をこっそりと呼び出して、それをお聞きになると、逢鈴は、「確かにいらっしゃいます」と申した。
(母様………全てが、元通りになりましたわ、唯一つ、私の記憶以外は。)
そう、天に昇ったまま、会えない母君に祈られた。
「逢鈴、とても良い品を持っているんだね、誰だい、そんなに良い調度品を下さったのは。」
貴久は生き返られて、藤一条の姫君(尼君)のことを、全て忘れられた。
「藤一条様ですわ。昔、頂きました。嬉しゅう御座いましたのよ。」
逢鈴をこっそりと呼び出して、それをお聞きになると、逢鈴は、「確かにいらっしゃいます」と申した。
(母様………全てが、元通りになりましたわ、唯一つ、私の記憶以外は。)
そう、天に昇ったまま、会えない母君に祈られた。
「逢鈴、とても良い品を持っているんだね、誰だい、そんなに良い調度品を下さったのは。」
貴久は生き返られて、藤一条の姫君(尼君)のことを、全て忘れられた。
「藤一条様ですわ。昔、頂きました。嬉しゅう御座いましたのよ。」