夢現物語

それを言われて、忍は更に顔を真っ赤に染めた。

（痛い所を突くなぁ。）

「あら、もしかして、当たっておりましたか？その御様子では、そうとられても、仕方がありませんわよ？」

女房はくすくすと鈴を転がす様に笑う。この女房は忍の腹心の女房で、忍の女房の中でも一番古参である。

「羨ましい限りで御座いますわ。あたくしも、いつか、人を恋しく思うのでしょうか。」

「いや、あの………ね。霞。まだ、そうと決まった理由では………」

誤魔化そうとしているのだが、いや、全く逆効果である。

（霞………頼むから、吹聴して回らないでくれよ。しないとは、思うけれど。）