夢現物語
霞は、忍の乳母の娘である。
幼い頃より共に過ごしていて、歳も同い年だ。

霞の母で、忍の乳母である‍女は、実は桜の乳母である葛の従姉妹である。

「若君。あたくしの母の従姉妹が乳母としてお仕えしている姫君がいらっしゃいますの。丁度、若君と同い年くらいでいらっしゃいますわ。」

「乳母の従姉妹が?」

「ええ。とても美しくていらっしゃるらしいですわ。なんせ、桜と呼ばれていらっしゃるのだもの。妹君は若草と呼ばれておられて、まぁ、姉妹そろって、美しい名前だ事。」

忍はハッとした。その桜とは、(聖子)ではないか。
忍の顔は明るくなった。

ついでに言えば、桜は己が紹介されていることを、全くもって知らない。
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