夢現物語
また、二人は生まれながらの不幸を背負っているという共通点もある。

姫君は片親であるので、しっかりとした後見がおられない。一応、父君がいらっしゃるが、それでも身分を偽って生活なさらなくてはならない。

一方、常磐も親が父君しかおらず、姫君と比べ家格があまり高くないがため、将来に希望を持てずにいた。

さて、前置きが長くなってしまった様だ。
言うのを忘れていたが、常磐は教養ある姫君であるものの、跳ねっ返りな人である。

(お姫様なんて、退屈だわ。御簾の奥深くでじっとしていなくてはならないなんて。)

常磐は、幼い頃、三歳年上の姉とよく庭に出て遊んだのを思い出した。
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