夢現物語
「何処へ行かれるのですか。姫様。従者は勿論連れてお行きになるのでしょうね。」

「しっ。バレたら不味いのよ。勿論、お忍びよ。だから、お前も付いておいで。」

「でも、叱られてしまいますわ。」

瑠莉がそう申すのは目に見えていたので、常磐は奥の手を使った。

「前に、お前が欲しいと申していた衣をあげるわ。それに、もし他にも欲しいならば、多過ぎなければ。」

物で幼子を釣るとは、いかにも悪どい手ではあるのだが。
しかし、瑠莉は乗った。


「姫様………宜しゅう御座いますの?後悔なさいません?」
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