夢現物語
その通り、車は止まった。
従者はキッと睨みつくばかり。

「私達は三条の縁の者で御座います。しかし、道に迷うてしまいました。道を案内して頂ければ嬉しゅう御座います。」

従者は面倒臭そうな顔をして、此方を見ている。沈黙が暫く続いたが、中の者がそれを破った。

「良い。急いでは居らぬのだから、案内して差し上げろ。これも、何かの縁かもしれない。」

瑠莉の顔はパッと明るくなり、常磐の困惑した顔も緩くなる。

「有難うございます。御礼申し上げます。」

(流石姫様………手段を選ばない御方でいらっしゃる。)
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