夢現物語
「北の方様、この頃、桜の君様が、体調が優れないと、いつも床につかれていらっしゃるのです。」

女房の一人が、最近の桜の様子を北の方に伝えに参っていた。

「それは、心配だわ。確か、この間、薬師達を呼んで見てもらったばかりだけれど………あのときは、確か、疲労だったわね。」

「疲労、で御座いますか………」

「上流の姫君らしく、と生活の全てに制限があるのだから、仕方がないわね、それは。私には分からない辛さだろうよ。」

「はあ。」

「だから、少し、休ませておあげ。そうすれば、あと幾日か後には、元に戻るよ、きっと。」
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