夢現物語
それを考えると、夜も眠れなくて、段々と桜は弱っていった。

(お願いよ、一度でも、いいの。お願いだから……………叶ったら、私、死んでもいいのに!)


夜、ガラガラと、牛車の車輪が転がる音がしてた。桜は、何となく、目を覚ました。

(お父様かしら?)

ならば、寝ていても構わない、ともう一度桜は目を閉じた。

「君。」

(え?)

「桜の君。」

耳に優しい、心地よい、声がした。
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