夢現物語
「それは………」

何故か、忍が少し、頬を赤らめていた。

「貴女が、この頃臥せっておられると、風の噂で聞きましたから。」

「心配して下さったの?」

「勿論。」

「…………嬉しい……………このまま、私、死んでしまいたいわ。」

「何を仰います。生きていて欲しかった、だから、参ったのですよ。」

桜は、一枚袿を羽織って、御簾をこっそりと抜け出した。

「…………御存知かしら。」

「?」
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