夢現物語
「しかし…………」

「それ以上の狼藉は、この私が許しません!良いこと!もう、忍君を離して!」

桜は主家の姫君。
従う他あるまい。

「…………承りまして御座います。」

従者はやっと忍から手を離した。

「私から、ひとつ、頼みがあります。」

「まさか、此奴と駆け落ちしたい、などではありませぬよね、姫様。」

「………そうしたいのは、山々。でも、それを言ってしまえる程、私達は軽い身分ではないから。」
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