夢現物語
「北の方様。」
一人の女房が、北の方の元へ渡った。
「藤一条の君が、北の方様の仰る通りに名乗る名を変えられて、これよりは、葵と名乗るそうで御座います。」
そう、と北の方は軽く相槌を打ってから、何処かを眺めていた。
「お前、一条邸に勤めていた時期があったようだが。」
その女房は、昔、姫君が幼い頃より一条邸におり、零落なすった時に移ってきた女房である。
「はい。」
「何か、そこに住んでいた者について、知っておるか。」
「はい。畏れ多くも、申し上げます。」
一人の女房が、北の方の元へ渡った。
「藤一条の君が、北の方様の仰る通りに名乗る名を変えられて、これよりは、葵と名乗るそうで御座います。」
そう、と北の方は軽く相槌を打ってから、何処かを眺めていた。
「お前、一条邸に勤めていた時期があったようだが。」
その女房は、昔、姫君が幼い頃より一条邸におり、零落なすった時に移ってきた女房である。
「はい。」
「何か、そこに住んでいた者について、知っておるか。」
「はい。畏れ多くも、申し上げます。」