夢現物語
(何故、生きながらえているのだ?僕は。こんな傷が首にあって、何故、今の今まで生きていたのだ?)
どうやら、自害なさったことは覚えていらっしゃらない様で。
つまり、姫君に関係する事は全てお忘れなのだ。
先日、唐櫃を開けられると、一枚、お好みの色ではない袿が出てきた。
貴久は青系の色を好まれるが、その袿は常盤色であった。
その袿は、姫君の所有しておられた物で、後にお譲りになった。
袿は、唐櫃の奥の方に、大事そうに、丁寧にしまってあった。他の衣装はそこまで丁寧ではない物を。
(貴久は………私のこと、思い出してくれるかしら。いえ、無理ね。母様との条件ですもの。)
どうやら、自害なさったことは覚えていらっしゃらない様で。
つまり、姫君に関係する事は全てお忘れなのだ。
先日、唐櫃を開けられると、一枚、お好みの色ではない袿が出てきた。
貴久は青系の色を好まれるが、その袿は常盤色であった。
その袿は、姫君の所有しておられた物で、後にお譲りになった。
袿は、唐櫃の奥の方に、大事そうに、丁寧にしまってあった。他の衣装はそこまで丁寧ではない物を。
(貴久は………私のこと、思い出してくれるかしら。いえ、無理ね。母様との条件ですもの。)