夢現物語
「いいじゃないか………ほら、母様は違うんだし、禁忌じゃあないし。」

甘える様な声で、貴久は仰っている。
お顔を、袿に埋められたままで。

姫君はふう、と溜め息をつかれた。

「私も、貴方も、名が廃れるわね。哀しいわ。いいえ、愛しいのかしら。如何して………?」

「貴方と二人でなら、それも、いいかもしれないなぁ。」

簡単に言うのね、と姫君は思われて、何だか、おかしかった。

「そうね。誰にも言わないと、約束してくれるならばね。死んでも、言わないと。」

「死んでも、か。良いよ。嬉しい。永久の約束だね。」
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