夢現物語
「やっと思い出されたのに。辛う御座いますよ。葵様には。頼りない御身であられるもの。」
貴久はそれを聞かれて、姫君が哀れだとお思いになった。
「先程、御縁談を拝見致しました。どの姫君も権門のお家ですが、器量がイマイチだと聞きました。顔が不自由な方で、『今末摘花』と呼ばれる方もいらっしゃるとか。」
「今末摘花?」
「はい。」
「嫌だなぁ。本当に。葵様はどれも素晴らしいもの。ああいう方がいいんだよ。それに、琵琶が上手い方がいいな。」
「都で琵琶の名手と呼ばれる姫君は御二人。葵の姫様と、この間典侍になられた三条の常磐君です。」
貴久はそれを聞かれて、姫君が哀れだとお思いになった。
「先程、御縁談を拝見致しました。どの姫君も権門のお家ですが、器量がイマイチだと聞きました。顔が不自由な方で、『今末摘花』と呼ばれる方もいらっしゃるとか。」
「今末摘花?」
「はい。」
「嫌だなぁ。本当に。葵様はどれも素晴らしいもの。ああいう方がいいんだよ。それに、琵琶が上手い方がいいな。」
「都で琵琶の名手と呼ばれる姫君は御二人。葵の姫様と、この間典侍になられた三条の常磐君です。」