夢現物語
「これを、僕が。痛かったり、辛かったりは?」

逢鈴は、いいえ、と首を振って、座った。

「眠る様に、隠れられます。痛みも苦しみもありません。とても短い時間で隠れられます。」

「それは良かった………」

「もし、使いたくなられたら、この逢鈴に、こっそりと申し付け下さいましね。お薬湯を作って参りますわ。」


戻られると、女房が頭を下げて、おめでとうございます、と言っている。

(まさか、もう、縁談がまとまってしまったとか?嫌だ…………)
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