夢現物語
(やはり、嫌であったか。彼処の姫君は、良い評判を聞かぬ。強いて言うなら、身分だけだ。それ以外、何も。十人並の娘を勧めるのは、嫌だったが、北の方が勝手に進めて。)
父君は顰めっ面で、北の方の隣に座っていらっしゃる。
「駄目です!彼処に今すぐ、文をやりなさい。良いこと!?」
(嫌だ。もう、こうなったら、死んでしまおう。この叶わぬ恋を、冥土の土産にと。)
貴久はそのまま、二人の前を去り、対の屋に戻られた。
父君は顰めっ面で、北の方の隣に座っていらっしゃる。
「駄目です!彼処に今すぐ、文をやりなさい。良いこと!?」
(嫌だ。もう、こうなったら、死んでしまおう。この叶わぬ恋を、冥土の土産にと。)
貴久はそのまま、二人の前を去り、対の屋に戻られた。