夢現物語
「ねぇ、崇子様………お願いがあるんだ。僕にこの薬湯を飲ませておくれ。」

「私が?」

「一生のお願いなんだ………もう、叶わないからね。」

貴久は真剣に、言われた。
姫君は一度、目をつぶってから、もう一度目を開けられ、薬湯を手にされた。

「死にたいか、今一度聞いてくれない?」

「分かったわ。」

すっ、と深呼吸をなさってから、姫君は問われる。

「貴久よ、貴方は、死にたい?」
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