夢現物語
「え?」

「北の方様がいらっしゃるのです!もう、車はすぐそこまで来ているのですわ!」

「何故!?」

「桜様がお亡くなり遊ばしたとか!」

「なんですって!?」

和泉は暫し、悩んでから、姫君に、声をかけた。

「塗籠に、お行き下さい。」

塗籠とは、邸で唯一、四方を壁に囲まれている部屋である。

「分かったわ。」

姫君は琵琶だけを抱えて、塗籠へと直行された。
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