夢現物語
ほんの少しの間、回想に耽っていた姫君は、パッチリと再度目を見開かれ、そして、口も開かれた。

「燕鼎。」

「えんてい?」

「そうよ。燕鼎。」

「…………変わった名前だね、燕鼎様。どういう、意味なの?」

「…………そうね。」

ほんの少し、考えてから、「やっぱり」と呟かれた。

「母様も燕と呼ばれているから、聞いたわ、前にね。燕、は女の美しい様を表す文字。鼎は高貴な、という意味だと思うわ。まぁ、文字の意味をそのままくむならば………」
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