夢現物語
「高貴な、美しい女、だね。合っていると思うよ。」

真っ向に褒められ、なんだか照れくさそうに、姫君は笑われた。

「………変わってないね、崇子様。いや、燕鼎様。」

「変わっていないって?」

「僕が、死んだ時から、変わらない。歳も一切重ねていない。僕は死んだから当たり前だけれど、生きているはずの燕鼎様が歳を取らない筈ない。人でない、と言っていたけど。」

何気なく聞かれるのだが、実はとんでもない質問である。

(私の正体を、ばらさなくてはならないわね。そうね。)
< 299 / 302 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop