夢現物語
姫君のお召になっている袿は裾が綻びている。
そして、部屋に置かれている几帳も色褪せて、季節に似合わない。
部屋には誰一人女房は居ず、女童の和泉が付き添っているだけであった。
手入れの行き届いていない部屋で、二人、隣あい、絵巻を見て暇を潰していられる。
姫君のお召し物も古びて悪いが、女童の和泉が着ている汗衫はもっとボロボロで、袴は色が抜けていた。
『こんな、古く褪せた物など、着るはずがありませんのに………-世が世なら。』
藤の方は、浸すら我が娘、姫君の待遇を嘆かれている。
そして、部屋に置かれている几帳も色褪せて、季節に似合わない。
部屋には誰一人女房は居ず、女童の和泉が付き添っているだけであった。
手入れの行き届いていない部屋で、二人、隣あい、絵巻を見て暇を潰していられる。
姫君のお召し物も古びて悪いが、女童の和泉が着ている汗衫はもっとボロボロで、袴は色が抜けていた。
『こんな、古く褪せた物など、着るはずがありませんのに………-世が世なら。』
藤の方は、浸すら我が娘、姫君の待遇を嘆かれている。