夢現物語
藤の方が仰った「世が世なら」には、心が痛む。

「哀れな…………調度、装束や衣を贈ろうか。女房も、手配してやろうか。」

不意に父君は仰った。
藤の方は父君をじっと見つめてらっしゃる。

『憂き世は、悲しいことばかりね。哀れだ事。』


そんな、夢を見た。
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