夢現物語
姫君が、藤の方にそっくりなのではなく、物語の主人公に藤の方がそっくりなのであられる。

藤の方が父君に初めて御会いしたのは、藤の木の下であった。その為、母君ほ『藤の方』と呼ばれてらっしゃるのだ。

「姫君の名前は、如何しようかしら。藤の木の下なら、『藤の君』で良いと思うのだけど。どうかしら、逢鈴。お前はどう思う?」

-藤の君。
藤の方が齢十いくつかの頃、父君と出会った頃に呼ばれていらした。

「逢鈴、ねぇ、聞いているのかしら?逢鈴?」

ボーッとしていた逢鈴は姫君のお声でやっと目を覚ました。
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