夢現物語
「そ、そうですわね。はい、聞いておりますわよ。」

ほほほ、と逢鈴は誤魔化すように笑った。

「日本語、おかしくなっておりますよ、逢鈴の君。」

近くに控えていた和泉は、逢鈴に突っ込むのを忘れなかった。

「和泉は厳しいわね。昔から…………貴女が幼い頃から、変わらなく、よね。」

和泉は幼いながらとても有能で、何処でも重宝される様な者であった。

「やはり、こうやって物語や絵巻を描くのは、楽しいわね。止められなくなりそうだわ………」

筆を硯箱に置いて、ふう、と溜め息をつかれた。
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