夢現物語
「もっとお金があれば、紙も画材も買えるのにね………やはり、私は父様の本妻の娘ではないからかしら、こんな古くなった邸に住んでいるのは。」
それを、逢鈴は聞き逃さなかった。
「あら、何、これは?」
「お母様が、新しい絵巻を用意して下さったのよ、あんなこと仰っていたけれど。」
桜と若草は、女房に手渡された絵巻を見て、たいそう、喜んだ。
「誰が描いたのかしら。」
「美しい手蹟(て)ね。誰も存知ないの?変ね。」
「もし、これを描いた女がまだ結婚していないならば、女房として、来て貰いましょうよ。」
それを、逢鈴は聞き逃さなかった。
「あら、何、これは?」
「お母様が、新しい絵巻を用意して下さったのよ、あんなこと仰っていたけれど。」
桜と若草は、女房に手渡された絵巻を見て、たいそう、喜んだ。
「誰が描いたのかしら。」
「美しい手蹟(て)ね。誰も存知ないの?変ね。」
「もし、これを描いた女がまだ結婚していないならば、女房として、来て貰いましょうよ。」