夢現物語

（此の方が、姫様達の教育係を務める………変わった女をお連れになられたこと。本当に教養はあるのかしら、ある訳無いじゃないの、この見た目じゃぁ。）

乳母は、卑しい女であるが、姫君を馬鹿にしていた。

「藤一条。貴女、和歌くらい分かるでしょうね、教育係と名乗るならば。」

「そうだわ、お姉様。藤一条に、春の歌を詠ませましょう。」

「成程、そうですか。この女の品定め、ということですね。面白う御座いますわ。」

乳母は刺すような視線を姫君に向け、くすりと笑った。

「はやくなさいよ、藤一条。」

「はようなされ、藤一条。」