夢現物語
何も知らないのか、と和泉は軽く呆れた。
「落窪は確かに恋物語ではあるけれど、有名な継子譚なのよ。私が前にお仕えしていた姫様(藤一条)が気に入ってらしたのよ、そのお歌。御本人は恋など知らないわ、と仰られていたけどね。」
藤一条の姫君は落窪物語の主人公、落窪の君にそっくりな待遇でいらっしゃるので、そうお言いになったのだ。
「和泉の君はとても教養があるのね。羨ましいわ。私達なんて、全く教養が無いから。」
別に、特別教養がある訳では、とぼそりと言う。
「しかし、藤一条の君には勝てませんわ。あの御方は、とても教養豊かで、御自分で物語をお書きになっているのだから。」
「落窪は確かに恋物語ではあるけれど、有名な継子譚なのよ。私が前にお仕えしていた姫様(藤一条)が気に入ってらしたのよ、そのお歌。御本人は恋など知らないわ、と仰られていたけどね。」
藤一条の姫君は落窪物語の主人公、落窪の君にそっくりな待遇でいらっしゃるので、そうお言いになったのだ。
「和泉の君はとても教養があるのね。羨ましいわ。私達なんて、全く教養が無いから。」
別に、特別教養がある訳では、とぼそりと言う。
「しかし、藤一条の君には勝てませんわ。あの御方は、とても教養豊かで、御自分で物語をお書きになっているのだから。」