夢現物語
「さぁ、参られた。父君に叱られてしまいますよ!」
姫君に半ば強制的に連れて来られた二人は、ムッとして言葉を発しない。
「何方が、何をお弾きになられるのだね?」
宴に来ていた者が女房にそう、問うたので、
「桜の君、若草の君は筝の琴を、藤一条の君は琵琶を演奏なさいます。」
と返事をした。
「藤一条の君は、琵琶の名手で御座いますのよ。私共も、楽しみですわ。噂の名手が、どれだけの腕前か、試してみとう御座いますもの。」
女房がほほほ、と愛想笑いをしているのを、姫君は側でお聞きになっていた。
姫君に半ば強制的に連れて来られた二人は、ムッとして言葉を発しない。
「何方が、何をお弾きになられるのだね?」
宴に来ていた者が女房にそう、問うたので、
「桜の君、若草の君は筝の琴を、藤一条の君は琵琶を演奏なさいます。」
と返事をした。
「藤一条の君は、琵琶の名手で御座いますのよ。私共も、楽しみですわ。噂の名手が、どれだけの腕前か、試してみとう御座いますもの。」
女房がほほほ、と愛想笑いをしているのを、姫君は側でお聞きになっていた。