夢現物語
話は何年か前に遡るが、父君には、北の方、かの藤の方の他に、もう一人恋人がいらっしゃり、その方にも一人、御子息がいらっしゃった。
その恋人は、北の方の妹で、御子息は北の方にとって、甥でありながら、娘達の異母弟、となる。
この方の御名を、貴久とお言いになり、たいそう美しく、そして可愛らしい若君であった。
父君は北の方に貴久のことをお教えしてはいなかったが、北の方はそれを噂によって知ってしまったのである。
初めは目の敵にされていたが、母が己の妹と分かり、哀れな、と思い、引き取られた。
藤一条の姫君とは違い、北の方に認められた若君でいらっしゃるので、待遇が素晴らしく良いのである。
その恋人は、北の方の妹で、御子息は北の方にとって、甥でありながら、娘達の異母弟、となる。
この方の御名を、貴久とお言いになり、たいそう美しく、そして可愛らしい若君であった。
父君は北の方に貴久のことをお教えしてはいなかったが、北の方はそれを噂によって知ってしまったのである。
初めは目の敵にされていたが、母が己の妹と分かり、哀れな、と思い、引き取られた。
藤一条の姫君とは違い、北の方に認められた若君でいらっしゃるので、待遇が素晴らしく良いのである。