夢現物語
つまり、北の方腹ではない、父君の御子は、若君貴久と藤一条、葵の姫君の御二人。
美しい調度品、綺麗な女房達に囲まれて生活なさる貴久は、藤一条の姫君とは比べ物にならない。
「藤一条の君は、どんな方なのだね、逢鈴。教えてはくれないかね?」
昨日、一瞬だけ御覧になった姫君のお顔が忘れず、もう一度、いや、また御逢いしたい、と思われたのだ。
「藤一条の君を、何処かでお目にかかったので御座いますか?」
「それは、言えないが…………何だろうか、みねど恋しき、だよ。うん。」
(皮肉な………藤一条様は、この方の姉君であられるのに。)
美しい調度品、綺麗な女房達に囲まれて生活なさる貴久は、藤一条の姫君とは比べ物にならない。
「藤一条の君は、どんな方なのだね、逢鈴。教えてはくれないかね?」
昨日、一瞬だけ御覧になった姫君のお顔が忘れず、もう一度、いや、また御逢いしたい、と思われたのだ。
「藤一条の君を、何処かでお目にかかったので御座いますか?」
「それは、言えないが…………何だろうか、みねど恋しき、だよ。うん。」
(皮肉な………藤一条様は、この方の姉君であられるのに。)