夢現物語
「詳しくはお教え出来ませんが、元々、あの方は零落した姫君に御座います。哀れに、と思われた父君が拾われたのですよ。琵琶の名手、と言うのは嘘ではなく、真です。」
そう告げた逢鈴の目尻から涙が止まり溢れてきて、彼女は、わっと泣き出してしまった。
「逢鈴、泣きなさんな。僕が慰めてやりたいよ………あんな美しい人、よく見つけられたなぁ。いや、父上も凄い。」
御自身の姫君だからお引き取りになったのだ、と言いたいが、言えなかった。
数日前、北の方は初めて藤一条の姫君を見た時のことを思い出していた。
(何だろうか、あの紅い瞳は。まるで、人ではないみたいな。)
そう告げた逢鈴の目尻から涙が止まり溢れてきて、彼女は、わっと泣き出してしまった。
「逢鈴、泣きなさんな。僕が慰めてやりたいよ………あんな美しい人、よく見つけられたなぁ。いや、父上も凄い。」
御自身の姫君だからお引き取りになったのだ、と言いたいが、言えなかった。
数日前、北の方は初めて藤一条の姫君を見た時のことを思い出していた。
(何だろうか、あの紅い瞳は。まるで、人ではないみたいな。)