泣き出す雨に教えてあげて【短編】
彼の地元は、私の居るここから、夜行バスで12・3時間はかかるところだ。
ここ半年間は、会っていない。
ただわかることは、就職活動の最中に居る彼も、自分の将来のために試験勉強などの、努力を日々積んでいることだろう。
斯く言う私も、同じ夢を追っている。
自分が育てられた地域に、仕事として携わることができるのであれば、どれだけの生き甲斐を感じることができるだろう。
誰もが思いつき、言えてしまいそうなこんな気持ちを持ち続けて、4年弱。
そろそろ、心が折れてしまいそうだった。
毎日のように試験勉強に励んでいるはずなのに、模試の正答率が下がりつつある。
もともと勉強は、得意な方ではない。
目標、夢とは言えど、自信を持てない私は民間の企業さんにも、挑戦している。
精神の安定剤、滑り止めとして、プー太郎にならないためにも。
どうしても外に出たがる体内の空気を、長く吐き出す。
私は未だに来ない電車を待ちわびて、電車が向かってくるであろう方向を眺めた。
その時だ。
スマートフォンのバイブレーションが、短く手の中で震えた。
まさか、と私は画面を見る。