泣き出す雨に教えてあげて【短編】



『あいこ、ありがとう』

胸の中がドクドクと、音を鳴らしていた。

胸が高鳴る。

顔が熱くて、仕様がなかった。

もちろん直ぐ様、返事を考える。

『久しぶりだね。元気にしてる?』

『うん。元気だよ。急に送ったりして、ごめんね』

『大丈夫。ちょっと驚いたけど。あいこから連絡してくるって、珍しいね』

『そういえば今日、誕生日だなーって思って…
就職活動の調子はどう?』

あの人からの返事は次々と返って来て、私は驚いていた。

それなのに、私はワクワクともしていた。

『まあ、ボチボチかな。試験の方は願書出して、来月に試験控えてる。あいこはどんな感じ?』

『私は』

返事を打つ手を、そこで止めた。

違う、止まった。

今『私は』どんな感じなんだろう。

滑り止めを、必死に探したりなんてしている。

目標を諦めるつもりはないけど。

何もしないで砕けるつもりはないけど。

だけど、自信も無い。
< 4 / 8 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop