泣き出す雨に教えてあげて【短編】
『あいこ、ありがとう』
胸の中がドクドクと、音を鳴らしていた。
胸が高鳴る。
顔が熱くて、仕様がなかった。
もちろん直ぐ様、返事を考える。
『久しぶりだね。元気にしてる?』
『うん。元気だよ。急に送ったりして、ごめんね』
『大丈夫。ちょっと驚いたけど。あいこから連絡してくるって、珍しいね』
『そういえば今日、誕生日だなーって思って…
就職活動の調子はどう?』
あの人からの返事は次々と返って来て、私は驚いていた。
それなのに、私はワクワクともしていた。
『まあ、ボチボチかな。試験の方は願書出して、来月に試験控えてる。あいこはどんな感じ?』
『私は』
返事を打つ手を、そこで止めた。
違う、止まった。
今『私は』どんな感じなんだろう。
滑り止めを、必死に探したりなんてしている。
目標を諦めるつもりはないけど。
何もしないで砕けるつもりはないけど。
だけど、自信も無い。