泣き出す雨に教えてあげて【短編】
『私は、何社か企業さんを受けてるよ』
気づけば、そう送っていた。
これを彼に送っている間にも、彼の勉強時間を妨げているに違いない。
きっと、私のこの返信の返事に困って、会話もこれで途切れるだろう。
自分から振った話題のくせに、自分が苦労してる。
「そうなんだ」「お互い頑張ろう」そんな返信を、私は待っていた。
でも、そんな狡い私の考えなんて、すぐにかわされた。
『前に言ってた第一志望は?試験、受けないの?』
受けるけど―
『自信が無い』
前置きも無しに、送っていた。
ああ。弱音なんて吐いたら、いけないのに。
こんな私のことを、彼はどう思っているのだろう。
きっと、早くこのやり取りを終わらせて、したいことだってあるだろうに。