泣き出す雨に教えてあげて【短編】
『費やした時間を、単純計算してトータルしたら、1年半分も時間使ってることになるんだよ』
『1年半を棒に振るのは、さすがに痛いでしょ』
『って、俺は思うよ』
お説教をしてくれている。
情けない私を、これは叱ってくれているんだ。
『とか言う俺も、投げ出したくなるよ。今まさに、そのピーク』
ああ、彼はなんて立派なんだろう。
彼も弱って居るのに、視界がしっかりしている。
私みたいに、あやふやなんかじゃない。
『大丈夫?あいこ、泣いてない?あいこって、何でも限界ギリギリまで我慢するから』
大変だ。
彼に何もかも、見透かされている。
でも、今こんなにも涙腺を刺激しているから、きっと、もう大丈夫。
そのうちに平気になるから。