イケメン部 〜第1巻〜
彼に悪気は無い。

だが澪和は少し俯き、



「……まぁ、ものだけはくれるので…」



小さな小さな声で呟いた。

城津は少し罪悪感を感じ、言葉を詰まらせた。

そんな城津に気付いたのか、澪和は自ら語りだす。



「…私の両親は大手企業の社長と専務なんです。昔から仕事ばかりで今もそう…。家に帰ってくるのは大体一年に3度程度。後はすべて海外で過ごすか会社で仕事をするか…」



城津は黙って聞いている。



「お金や欲しいモノはくれるんです。お金の場合、1週間に5万円は届きますし…。生活に苦労はしていません。……して…いないのに…」



澪和の言葉が途切れた。


城津はそっと澪和に近づき…



「………ッ!!!???」



優しく抱きしめた。
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