イケメン部 〜第1巻〜
御影は暫くそんな澪和の様子を見ていたが、やがてゆっくりと口を開いた。



「…なるほど」


「……?」



澪和には全く理解不能な言葉だった。



「なにが、なるほどなんですか?」



問い掛けるものの、彼は爽やかに微笑んだままで答えを返してこない。

困り果てる澪和に、御影は聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声で、



「…どうりで西条が惚れるわけだ」



と呟き、



「お前は早く、部活に戻れ」



心配してくれたお礼だというように、ペットボトルのお茶を澪和に差し出し、門の方へと歩いていった。


暫くの間、澪和は学校の外へと出ていった御影の姿を見送り、渡されたペットボトルを大切そうにぎゅっと握った。

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