ペンダント~夢からわかる過去の真実~







「は、離してください!」


私が勢いよく手を振り払い、なんとか離させた。


男の人はびっくりした顔をしていたけれど、実際その顔をしたいのはこっちのほうだ。


「なにやってるんだよ桜。はやく病院戻るぞ?」


もう一度私の腕を握ろうとしていたけれどもかわした。


「ちょっと待ってください!私のはなしを聞いてください」


「そういやなんで敬語なの?」


「初対面だからですよ!いいですか?私は桜なんかじゃありませんし、病院にもお世話になっていません。なんでこの病衣を着ていたのかは説明できませんが...。とにかくこれがいちばん重要です!'私はあなたとの面識は一切ございません'。」


私が言い張ると男の人はなぜか瞳を潤ませていた。


< 68 / 356 >

この作品をシェア

pagetop