ワケあり同士が付き合ったらどうなんの!?
4月11日火曜日

入学式の次の日。
こんな半端な日に入学する事になったのは親の都合。
親は転勤が多く、今回は親の転勤の関係で母親の実家であり、祖母が亡くなってからは従妹が住んでいる家に同居する事になった。

僕は担任の先生について教室の前まで行くと、先生が先に入りホームルームを始めた。

「とゆうわけで、1日遅れましたが今日からこのクラスの一員となる男子がいるので紹介します。入ってきなさい」

「男子かよー」

「イケメンかな?」

「てか一日遅れってなによ?」
 
僕が中に入る前からこんな声が聞こえていた。
はぁ…入りたくないな…
見た目が見た目だからきっと変に思われるよな…

僕がドアを開けて入ると皆の視線がこちらを見ていた。

「へぇ~以外に格好良くね?」

「このクラスの男子の中ではね~」

「てか金髪とかヤンキーかな?」

まぁ、思ってたとおりの反応かも…

「じゃ、自己紹介して。」

先生に言われたので仕方なく自己紹介をする。

「えっと…東雲璃斗(しののめりと)…です。よろしくお願いします。」

「…フルネームで言いなさいな。」

先生に怒られた。

「え?フルネームじゃん?」

「ねー。」

「先生何で怒ってん?」

「えっと…東雲・A・璃斗です…これでいいですか?」

「私が貰った名簿とは名前が違うのだけど?」

「はぁ…わかりました。言いますよ…改めまして東雲・アルヴァスター・璃斗です。よろしくお願いします。」

「よろしい。まぁ今日は授業もないし一日遅れの東雲君に質問タイムね。」

最悪だ…
転校には慣れているのだが転校して自己紹介後の質問タイムが一番嫌いだ。


「ねー、アルヴァスターって何?」

「えっと…僕はハーフで父親がイギリス人なんだよね。それで父親の苗字がミドルネームで入ってるんだ。」

もう何回目だろう…この説明…

「じゃあ髪もお父さんの遺伝?」

「まぁ。」

「眼は黒いけど母親は日本人なんだよね?」

「そうなるかな。」 

僕は飛んでくる質問に次々答える。
早く終わるようになるべく短く適当に、嘘はつかないように。
慣れた手つきだ。

「璃斗君、私と結婚しようか。」

「う…ってえ!?」

「ちぇっ…この手ならいけると思ったのになぁ…」

と、従妹の東雲小春(しののめこはる)が口を尖らせた。
小春とは昔結婚する約束をしたがそんなものは子供のあるあるみたいな物で小春に将来お嫁さんになってあげると言われたが本気にしてなかったのだが本人は本気の様で会う度に言ってくる。

「いや、騙されないよ?てか、従妹だから結婚出来ないからね?」

「璃斗君、知らないの?日本では従妹同士で結婚して良いんだよ?」

「いや、僕は日本人だからね?イギリスには年に数回行く程度だからね?」

「ハーフじゃん。」

「いや、そうだけどさ…てか、従妹で結婚できるって父型の遠縁ならワンチャンって話でしかもそれも法律とかじゃなくそう言われてるだけで実際はだめだからね?」

「でも、私からしたら父型の従兄だよ?」

「僕からしたら母方の従妹だけどね。」

「いーじゃん。昔約束したでしょ?」

このように小春は昔約束したと、言い張り聞かない。
こうなったら適当に流すのが一番だ。

「はいはい。先生、僕の席は何処ですか?」

「あー香椎(かしい)さんの隣ね。」

と、香椎さんといわれた人を見ると…
ギャルだった。
男子も女子もこの季節はブレザー着用のはずなのに既にブラウスにニットベストでリボンは緩められており、胸元のボタンは2つほど開いていた。
スカートも短く、黒のニーソを履いていた。

「えっと、よろしくね?」

僕が席についてそう言うと僕の方をじっと見つめてきた。

ちなみに小春は香椎さんの前の席で後ろを向いてこちらを見ていた。

「はーい、じゃあ授業しますか…といっても委員会決め位しかないかなぁ」

先生がそう言うと委員会きめが始まった。
委員会は全員ではなくクラスの半分ほどがやるだけのようで僕はどれにもならなかった。

その後も学校の説明やら授業の教科書配りやらで午前中が終わり昼休みのチャイムが鳴った。

「璃斗君、お昼屋上で食べない?てか、屋上にお弁当持ってくから食べたければ来てね?」


小春がお弁当作らなくてもいいと言っていたのはこの為だったとは…

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