Another 姫☆組 (姫シリーズVol.3) 【完】
太陽を背にしていたから、彼女の表情は暗くて良く見えなかったんだ

それでも、焦っているのが、よくわかった

余所見をして歩いていた彼女は、俺の座っていたベンチの前で躓き、俺にダイブ・・

俺は、椅子ごとひっくり返り、そのまま後ろの池に落ちた

ダイブしてきた彼女は、俺を突き飛ばし、そのまま椅子を抱え込む形で池の前に座っていたんだけど、俺に謝った彼女は俺に手を貸すために、何の躊躇もなく、池に入ってきたんだ

「本当にごめんね。立てる?」

そういって、彼女は俺に手を出してきた

彼女のその行動に周りもビックリしていたみたいで

「おい! 姫花!!」

いっつも彼女の隣にいる俳優ヤローは、なんか怒ってるみたいだし・・

「あぁ・・平気」

俺は、彼女の差し出された手には触れずに、自分で立ち上がって池から出た

池にしりもちをついた俺のズボンは水を含んで重かった・・

「東野くんだよね? 本当ごめんね」と女優の女が俺にタオルを差し出してきた

「水もしたたるいい男~」とアイドルの男が俺の顔を覗き込んできた

「保健室に行けば、着替えあると思うよ?」ともう一人のアイドルの男も俺に話しかけてきた

そんな時

「ギャー!!!」

色気もくそもねぇ声が背後から聞こえてきたんだ

もちろんその声の主は彼女の他にいるわけもなくて・・

その彼女が持っていたのは、紛れもなく俺の携帯で・・

そして、携帯からがポタポタ・・・水がしたたり落ちていたわけで・・

そして、「御臨終です」と彼女は俺に携帯を差し出して来たんだ

御臨終って・・・

「プッ! クククッ・・・」

俺は思わず笑ってしまったんだ

俺の笑い声は、段々でっかくなっていって、涙まで出てくる始末

そんな俺につられて、みんなで大爆笑だったんだ

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