Another 姫☆組 (姫シリーズVol.3) 【完】
琴乃は、記者が押し寄せるという事に気をとられ、自分で週刊誌をチェックするのを忘れていた

しかし、見出しは、大物芸能人の離婚の話題で、ガクの浮気の記事は見当たらない・・

「どこ見てんの? こっちだって!」

男の子は、週刊誌の後ろのページを開いた

そこには、アイドル達の素顔!!という見出しがついていた

白目をむいてるアイドルの子やヨダレをたらしている子の写真が載っていて、そこに自分の写真もあったのだ

移動のロケバスの中で、どこかのスタジオの裏で、脇に手を突っ込んでる写真とその横にもう一枚、手の臭いを嗅いでいる自分の姿が写し出されていたのだった

「お前って、脇の匂いとか嗅ぐ趣味あんのね~ 週刊誌デビューだろ? これやるよ!」

と男の子は週刊誌を置いて、琴乃の前を去っていった

「・・・・・・・」

琴乃は、しばらくの間自体が飲み込めず、ボーっとしていたが、我に返り、携帯を握り締め、ガクの写真を売った記者に電話を掛けた

「もしもし!! あの!! 琴乃です!! どういう事ですか!?」

「あ~ 琴乃ちゃん? どうしたの~」

暢気な記者の言い方にイラッと来る

「どうしたのじゃないですよ!! あの写メはどうしたんですか!!」

「あ~あれね~ 悪いけど、アレは使えないよ?」

「どうしてですか!!」

「だって、あれ浮気でも何でもないよ?」

「は!?」

「琴乃ちゃんの視界には入ってなかったのかもしれないけど、その先に撮影クルーがいたハズだよ?」

「え?」

「琴乃ちゃんは、ドラマの撮影の風景を横から撮ったって事」

「・・・・・・」

「それにね、もしアレが本当に浮気の場面だったとしても、大倉学のは載せられないんだ」

「・・・なんで・・・ なんでですか!?」

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