御曹司と婚前同居、はじめます
ホテルを出てすぐにタクシーに乗り込んだところでようやくまともに呼吸ができるようになる。
たった数分のことだったけれど生きた心地がしなかった。
「美和。彼女とはもう終わっている」
「うん。分かってる」
それなのにどうしてこんなにも心が重たいのだろう。
「何か言いたいことがあるんじゃないのか?」
見透かされて、目が泳いでしまった。
「言ってくれ。美和に嫌われたくない」
そんなこと言われても。ここがタクシーの中ってこと忘れてない?
バックミラーを見やると、運転手は真っ直ぐ前を向いていた。
気まずいけれど、正直なところ家まで我慢できないほど二人の過去が気になってしまっている。
そっと耳元に唇を寄せて小声で話し掛けた。
「あの人とはどれくらい付き合っていたの?」
「半年くらいかな」
長くもないけれど短くもない期間だ。
「いつ別れたの?」
「美和に会う少し前だ」
「じゃあ、二人が別れたのは私のせい?」
「聞こえが悪いかもしれないが、俺は美和以外に本気で好きになった人はいない」
「それならどうして付き合ったの?」
聞かなくても分かっている。それなのに口が勝手に動いてしまう。
「それは……悪かった」
どうして謝るの? 瑛真は悪いことなんてしていない。ただ私が勝手に嫉妬しているだけだ。
嫌だな。こんなこと言いたくないのに。
たった数分のことだったけれど生きた心地がしなかった。
「美和。彼女とはもう終わっている」
「うん。分かってる」
それなのにどうしてこんなにも心が重たいのだろう。
「何か言いたいことがあるんじゃないのか?」
見透かされて、目が泳いでしまった。
「言ってくれ。美和に嫌われたくない」
そんなこと言われても。ここがタクシーの中ってこと忘れてない?
バックミラーを見やると、運転手は真っ直ぐ前を向いていた。
気まずいけれど、正直なところ家まで我慢できないほど二人の過去が気になってしまっている。
そっと耳元に唇を寄せて小声で話し掛けた。
「あの人とはどれくらい付き合っていたの?」
「半年くらいかな」
長くもないけれど短くもない期間だ。
「いつ別れたの?」
「美和に会う少し前だ」
「じゃあ、二人が別れたのは私のせい?」
「聞こえが悪いかもしれないが、俺は美和以外に本気で好きになった人はいない」
「それならどうして付き合ったの?」
聞かなくても分かっている。それなのに口が勝手に動いてしまう。
「それは……悪かった」
どうして謝るの? 瑛真は悪いことなんてしていない。ただ私が勝手に嫉妬しているだけだ。
嫌だな。こんなこと言いたくないのに。